アルファード ロイヤルラウンジ対エグゼクティブラウンジ！価格と格の決定的な違い

トヨタ アルファードのラインナップにおいて、カタログモデルの頂点に君臨するのは間違いなく「エグゼクティブラウンジ」です。
しかし、真の富裕層やトップエグゼクティブの間でのみ密かに、しかし熱烈に支持されてきた「裏の頂点」とも呼ぶべきモデルが存在することをご存知でしょうか。
それが、2019年12月まで受注生産されていたコンプリートカー、「ロイヤルラウンジ」です。

新車価格で約750万円のエグゼクティブラウンジに対し、ロイヤルラウンジはその2倍、約1500万円以上というスーパーカー並みのプライスタグを掲げていました。
多くの人が「同じアルファードになぜ倍の値段が？」と疑問を抱くこの価格差。
しかし、実車に触れればその理由は明白です。750万円という差額は、単なる豪華装備の追加費用ではありません。
それは、「多人数乗車のミニバン」という車本来の概念を破壊し、「たった2人のための移動要塞」へと再構築するためのコストなのです。

今回は、数々の高級車を乗り継いできた筆者が、カタログスペックの数字だけでは決して読み取れない、この2台の間に横たわる決定的な「格」と「体験」の乖離について、実用面から資産価値に至るまで徹底的に解説します。
あなたが求めているのが「家族のための最高級」なのか、それとも「自分のための究極」なのか、この記事を読めばその答えが必ず見つかるはずです。

4座席対7座席　移動の概念を覆す「ロイヤルラウンジ」の設計思想

アルファードという車を語る際、多くの人は「広い室内」や「多人数での快適な移動」をイメージするでしょう。
実際、メーカーラインナップの頂点である「エグゼクティブラウンジ（EL）」は、その期待に完璧に応える車です。
3列目シートを備え、最大7名が乗車できるパッケージングは、家族旅行からVIPの送迎まであらゆるシーンに対応する「万能の王者」と言えます。
しかし、「ロイヤルラウンジ（RL）」の設計思想は、この万能性を真っ向から否定するところから始まっています。

RL最大の特徴にして最大の衝撃は、ミニバンのアイデンティティである3列目シートを完全に撤去し、乗車定員をわずか4名（後席は2名のみ）に限定した点にあります。
全長5メートル近い巨体を持ちながら、軽自動車と同じ4人しか乗れない。
この「無駄」とも思える空間の使い方こそが、RLのラグジュアリーの根源です。
ELが「効率と快適の最大公約数」を追求した量産車であるのに対し、RLは「特定の2名のためだけに全ての空間リソースを浪費する」という、贅沢の極みを目指したコンプリートカーなのです。

ドアを開けた瞬間に飛び込んでくるのは、シートが並ぶ光景ではなく、圧倒的な「空間の余白」です。
通常なら3列目シートやラゲッジスペースが存在する場所まで、2列目のVIPシートが支配しています。
この設計変更により、ELと比較して後席の空間容積は劇的に変化しました。
単に足元が広いというレベルを超え、まるで高級ホテルのスイートルームや、プライベートジェットの機内に足を踏み入れたかのような錯覚さえ覚えます。
量産ラインで効率的に製造されるELとは異なり、一度完成した車両の内装を職人が手作業で解体し、ベースシャシーの状態から作り直す「架装」という工程を経なければ、この特異なパッケージングは実現しません。
「4座席」という選択は、単なる座席数の違いではなく、移動に対する価値観のパラダイムシフトを意味しているのです。

量産ラインのエグゼクティブラウンジと架装コンプリートカーの境界線

「エグゼクティブラウンジ（EL）」と「ロイヤルラウンジ（RL）」を分かつ決定的な違いは、その製造プロセスに宿る「魂」の在り処にあります。
ELはトヨタ自動車の高度に自動化された生産ラインで、厳しい品質管理のもと効率的に製造される「工業製品の傑作」です。
対してRLは、トヨタカスタマイジング＆ディベロップメント（旧モデリスタ）の熟練工が、一台一台時間をかけて作り上げる「工芸品」に近い性質を持っています。

具体的には、ベースとなる車両が工場から出荷された後、専用の架装工場へと運ばれます。
そこで一度、シートやカーペット、内張りといった内装部品が全て取り払われ、ドンガラの状態にされます。
そこから、フロアの補強、専用パーティションの設置、配線の引き直し、そして職人の手による本杢（ほんもく）パネルの組み付けなどが行われます。
このプロセスは、量産車の製造というよりは、オーダーメイドのクルーザーや別荘の内装工事に近いものです。

ELも確かに高級ですが、あくまで「アルファードという車種の中の最高グレード」という枠内に留まります。
スイッチ類や樹脂パーツの一部には、下位グレードと共通の部品も見受けられます。しかしRLは、その枠を完全に逸脱しています。
ルーフに埋め込まれたアナログ時計一つとっても、職人が削り出した金属パーツとサファイアガラスが使われており、量産車の常識では考えられないコストが掛けられています。
この「手作り感」と「圧倒的な専用設計」の集積こそが、両車の間に埋めようのない「格」の違いを生み出しているのです。

乗車定員削減が生み出した600mmの余剰空間とファーストクラス体験

3列目シートを排除したことによる最大の恩恵は、物理的な数値として如実に現れています。ELと比較して、RLの後席レッグスペース（足元の広さ）は約600mmも拡大されました。「600mm」という数字を聞いてピンとこないかもしれませんが、これは一般的な航空機のエコノミークラスとファーストクラスのシートピッチの差をも上回る数値です。

実際にRLの後席に乗り込み、身長180cmの筆者が足を思い切り伸ばしてみました。
ELであれば、オットマンを使っても前席の背もたれが視界に入り、圧迫感を感じることがありますが、RLでは全く届きません。
前方のパーティションまでの距離は遥か遠く、足元にキャリーケースを置いてもまだダンスが踊れそうなほどのスペースが広がっています。

この「物理的な距離」は、心理的な余裕に直結します。
目前に壁や座席が迫っていないという解放感は、長距離移動のストレスを劇的に軽減します。
また、リクライニングをフルに倒した際も、後方の荷物を気にする必要が一切ありません。
ELでは3列目に人が乗っている場合や荷物が積んである場合、気を使ってリクライニングを遠慮するシーンがありますが、RLにおいて後席の住人は絶対君主です。
誰に気兼ねすることなく、その広大な空間を独占できる。
この「空間の独占権」こそが、1500万円の対価として得られる最も贅沢な果実と言えるでしょう。

絶対的なプライバシー　フルパーティションという「壁」

高級セダンやミニバンにおいて、「静粛性」は重要な評価基準の一つです。
しかし、ロイヤルラウンジが提供するのは、単なるデシベル（dB）単位の静かさではありません。
「情報の遮断」と「精神的な静寂」です。
これを実現しているのが、運転席と後席を完全に物理的に分断する「フルパーティション」の存在です。

通常のエグゼクティブラウンジ（EL）には、当然ながら運転席と後席を隔てる壁はありません。
家族との会話を楽しむにはそれが最適ですが、プロの運転手を雇うショーファーカーとして利用する場合、この「繋がっている空間」はデメリットになり得ます。
ビジネスの電話、同乗者との密談、あるいは一人で無防備に寝息を立てて休みたい時。
ドライバーの背中が見え、こちらの気配もドライバーに伝わってしまう環境では、真のリラックスは訪れません。

ロイヤルラウンジのパーティションは、前席からの視線だけでなく、音や空気感までも遮断します。
後席のドアを閉め、パーティションのガラスを閉じた瞬間、そこは外界から切り離された完全な密室となります。
ロードノイズやエンジン音も、パーティションが防音壁の役割を果たすため、ELに比べて驚くほど遠くに感じられます。
ドライバーは「同じ空間にいる同乗者」から、「壁の向こう側にいるオペレーター」へと役割が変わります。
この構造的な変化により、後席のVIPは「見られている」「聞かれている」という無意識の緊張感から解放され、自宅の書斎やホテルの個室にいるかのような、絶対的なプライバシーを手に入れることができるのです。
これは、どれだけ高級な素材を使っても、空間が繋がっているELでは物理的に不可能な体験です。

ガラスの透明度を操る可動式調光ガラスとインターホンの実用性

ロイヤルラウンジのパーティションには、ただの壁以上の機能が詰め込まれています。
特に注目すべきは、一部の上級仕様（SPなど）に採用されている「可動式調光ガラス」です。
これは、スイッチ一つでガラスの透明度を瞬時に切り替えることができるハイテク装備です。

通常時は透明にしておけば、フロントガラス越しに前方の景色を楽しむことができ、閉塞感を感じることはありません。
しかし、信号待ちで周囲の視線が気になる時や、完全に外界をシャットアウトして眠りたい時は、スイッチを押すだけでガラスが一瞬にして「白濁（スモーク）」し、不透明な壁へと変化します。
カーテンを閉めるような煩わしさもなく、指先一つで空間の性質を変えられるこのギミックは、所有欲を強く満たしてくれます。

また、パーティションによって音が遮断されるため、ドライバーへの指示出しには専用の「インターホン」を使用します。
「次の角を右へ」といった些細な指示も、マイクを通じて伝えます。
一見不便に思えるかもしれませんが、これには「必要な時だけ繋がる」というメリットがあります。
常時会話ができる状態だと、ドライバーからの不要な話しかけや、こちらの独り言が聞かれるリスクがありますが、インターホン経由であればその心配はありません。
この「意図的な不便さ」が、VIPのプライベートな時間を守る鉄壁の盾となっているのです。

ドライバーを「外部化」することで担保される機密情報の安全性

企業経営者や要人にとって、移動中の車内は「第2の会議室」です。
M&Aの案件、人事情報、未発表のプロジェクトなど、車内で交わされる会話には、漏洩すれば株価すら動かしかねない機密が含まれています。

エグゼクティブラウンジ（EL）の場合、どれだけ口の堅い信頼できる専属運転手であったとしても、「人間が聞いている」というリスクをゼロにすることはできません。
また、運転手が意図せずとも、電話の相手の声や会話の断片が耳に入ってしまうことは避けられません。
しかし、フルパーティションを備えたロイヤルラウンジであれば、そのリスクを構造的に最小化できます。

物理的な壁があることで、後席での会話内容は運転席にはほとんど届きません。
これにより、VIPはドライバーに気兼ねすることなく、機密性の高い電話会議を行ったり、同乗者と重要な商談を進めたりすることが可能になります。
ドライバーを「運転という機能を提供する外部装置」として完全に切り離し、後席を「移動する金庫」として運用できる。
このセキュリティレベルの高さこそが、多くの政治家やトップビジネスマンが、ELではなくあえて高額なRLを指名買いする最大の理由なのです。

疲労回復のインフラ　医療級マッサージと専用シート

「座り心地」という言葉において、ロイヤルラウンジ（RL）のシートは自動車業界の常識を超えた領域に到達しています。
エグゼクティブラウンジ（EL）のシートも確かに素晴らしい出来栄えですが、それはあくまで「移動中の身体を支える椅子」としての最高峰です。
対してRLの専用VIPシートは、移動中に体力と気力を積極的に回復させるための「医療機器的なインフラ」としての側面を持っています。

その違いを最も如実に感じるのが、シート内部の構造です。
ELのシートにも快適温熱機能（シートヒーター）やベンチレーション（送風機能）は備わっていますが、RLにはそれに加えて、専門的なリラクゼーションシステムが組み込まれています。
これは、家庭用マッサージチェアのような簡易的なバイブレーション機能とは一線を画します。
シート内部に埋め込まれた「8個のエアーセル（空気袋）」が、緻密な制御によって膨張・収縮を繰り返し、乗員の背中、腰、骨盤周りを指圧師のような力強さで押し上げます。

特に長時間の移動後、目的地に到着した瞬間の身体の軽さは、ELとは比べ物になりません。
ELでは「疲れなかった」という感想になりますが、RLでは「乗る前より元気になった」と感じることさえあります。
多忙を極めるVIPにとって、移動時間は単なる隙間時間ではなく、次の仕事に向けた「充電時間」です。そのための充電器として、RLのシートは徹底的に機能特化されているのです。

• 全身パルスモード：体全体をリズミカルに刺激し、血行を促進
• 腰モード：腰回りを重点的に加圧し、座り疲れを軽減
• ストレッチモード：背中と腰のエアーセルが連動し、背筋を伸ばす

エグゼクティブラウンジにはない医療的アプローチのリラクゼーション

RLに搭載されたリラクゼーション機能には、「全身パルス」「腰」「ストレッチ」という3つの専用プログラムが用意されています。
特筆すべきは「ストレッチ」モードです。
これは、腰のエアーセルが大きく膨らんで骨盤を押し出し、同時に背中のエアーセルが作動することで、凝り固まった背筋をグーッと反らせて伸ばしてくれる機能です。

車内で、しかも座ったままでこれほど本格的なストレッチ効果が得られる機能は、ELには存在しません。
ELのマッサージ機能はあくまで「揉む」ことに主眼が置かれていますが、RLは「骨格を整える」ようなアプローチを感じさせます。
まるで専属の整体師が同乗しているかのようなこの機能は、慢性的な腰痛に悩む経営者や、常に緊張状態にあるVIPの身体を優しく解きほぐします。
「ただ座っているだけ」の時間が、積極的なボディケアの時間へと変わる。
この価値は、健康を資産と捉える富裕層にとって、何物にも代えがたいメリットとなるでしょう。

プレミアムナッパ本革とハイバック形状がもたらす着座感覚の差異

機能面だけでなく、肌に触れる素材と形状にも、RLならではのこだわりが詰まっています。
シート表皮には、ELよりもさらに厳選された最高級の「プレミアムナッパ本革」が採用されています。
この革は、一般的な本革よりもきめが細かく、しっとりとした油分を含んだような触り心地が特徴です。
座った瞬間、衣服越しでもその柔らかさが伝わり、身体がシートに吸い付くようなフィット感を生み出します。

また、シート形状もELとは異なる「ハイバックチェア」スタイルを採用しています。
頭部までを一体で支える高い背もたれは、見た目の威厳だけでなく、リクライニング時の安定感を高める役割も果たしています。
パワーオットマンを伸ばし、背もたれを限界まで倒してフルフラットに近い状態にした時、このハイバック形状が身体全体を包み込む「ゆりかご」となります。

走行中、路面の継ぎ目や段差を越えた際も、分厚いクッションと高品質な革、そして堅牢なシートフレームが振動を減衰させ、乗員には「トン、トン」という遠くで鳴る音としてしか伝わりません。
まるで雲の上に浮いているかのような浮遊感。ELでも十分に快適ですが、RLのそれは「睡眠の質」を変えるレベルの静的な安らぎを提供してくれます。

走る役員室の実現能力　24インチモニターとJBLサウンドシステム

「移動するオフィス」というキャッチコピーは多くの車で使われますが、ロイヤルラウンジ（RL）ほどその言葉を体現している車はありません。
その象徴が、パーティションに埋め込まれた「24インチ」の大型液晶ディスプレイと、専用チューニングされた「JBLプレミアムサウンドシステム」です。

エグゼクティブラウンジ（EL）にも「12.1インチリアエンターテイメントシステム」が装備されていますが、これは天井から吊り下げるフリップダウンタイプです。
子供がアニメを見るには十分ですが、ビジネス用途としては画面が小さく、首を見上げる姿勢になるため長時間の視聴には向きません。
一方、RLの24インチモニターは、一般的なデスクトップPCのモニターと同等のサイズがあり、パーティションの正面、つまり目線の高さに設置されています。

この「サイズ」と「位置」の違いは、決定的な差を生みます。
24インチあれば、細かい文字で書かれたExcelの収支表や、複雑な建築図面、高精細なプレゼンテーション資料も、拡大することなく一目で確認できます。
さらに、車内の音響特性に合わせて最適配置された17個のJBLスピーカーが、映画館のような臨場感と、ビデオ会議におけるクリアな音声を両立させます。
RLの車内は、単なる移動空間ではなく、最新のAV機器を備えた「防音視聴覚室」としての機能を完備しているのです。

12.1インチとは別次元の視認性とモバイル会議室としてのポテンシャル

現代のビジネスにおいて、情報の視認性はスピードに直結します。
RLの24インチディスプレイは、HDMI端子などを通じてノートPCやタブレットと接続することで、即座にメインモニターとして機能します。

例えば、移動中に急遽オンライン会議に参加しなければならなくなった場合、ELの12.1インチモニターでは相手の表情や共有資料を同時に確認するのは困難です。
しかしRLなら、画面分割をしても十分な視認性を確保でき、相手の微細な表情の変化まで読み取ることができます。
また、株価チャートやニュース映像を流しながら作業をする際も、その圧倒的な情報量は武器になります。

「車の中だから仕方ない」という妥協を一切許さない。
オフィスにいる時と同じ、あるいはそれ以上のクオリティで情報をインプット・アウトプットできる環境。
それがRLの提供する「モバイル会議室」としての真価です。

堅牢なテーブルと電源確保によるノンストップワークの確立

パソコンを開いて仕事をする際、意外と重要なのが「テーブルの剛性」です。
ELにもサイドテーブルはありますが、簡易的な構造のため、重いノートPCを置いてタイピングをすると揺れてしまい、作業効率が落ちることがあります。

RLには、アームレストから展開される、幅485mm×奥行き250mmの大型テーブルが装備されています。
特筆すべきはその「頑丈さ」です。
耐荷重10kgというスペック通り、分厚いビジネス書や大型のラップトップを置いてもビクともしません。
さらに、表面には滑り止め加工や本革装飾が施されており、書き物をする際もペンの走りが安定します。

そして、テーブルのすぐそばにはAC100VコンセントとUSB充電端子が完備されています。
バッテリーの残量を気にすることなく、到着直前までフルパワーで仕事をこなすことができる。
この「揺れない机」と「切れない電源」というインフラが、経営者の貴重な時間を1分たりとも無駄にさせないのです。

1500万円の対価と資産価値　生産終了がもたらす希少性の行方

「アルファードに1500万円」という価格は、発売当時、多くの自動車評論家やユーザーを驚愕させました。
ベースとなるエグゼクティブラウンジ（EL）が約750万円であったことを考えると、架装費用だけで車がもう一台買える計算になります。
しかし、その生産工程と中身を知れば知るほど、この価格設定が決して「ぼったくり」ではないことが理解できます。

ロイヤルラウンジ（RL）の製造は、ほぼ手作りの世界です。
量産ラインで作られたELを一度バラバラにし、ボディ剛性を高めるための補強を溶接し、専用の配線を通し、職人が手作業で内装を組み上げていく。
これにかかる人件費と時間、そして専用部品の金型コストを考えれば、利益率は決して高くなかったと推測されます。
むしろ、マイバッハやロールス・ロイスといった数千万円級のリムジンと同等の架装内容を、トヨタの信頼性とともに1500万円で提供していたことは、バーゲンプライスであったとさえ言えるかもしれません。

そして現在、この車の価値を決定づけているのが「2019年12月での生産終了」という事実です。
30系アルファードの販売期間中に幕を閉じたRLは、現行モデルや今後のモデルで復活するかどうかが不透明であり、その絶対数が固定化されています。
これにより、RLは単なる中古車ではなく、コレクターズアイテムとしての側面を持ち始めています。

新車価格倍増の正当性とベースグレードによる価格変動のメカニズム

RLの新車価格は、ベースとなる車両（ガソリン車かハイブリッド車か、2WDか4WDか）によって異なりましたが、概ね1530万円〜1580万円のレンジでした。
ELとの差額約750万円〜800万円は、そのまま「プライベート空間への入場料」と言えます。

この価格差を「高い」と感じるか「安い」と感じるかは、その人が「時間」と「空間」にどれだけの価値を置いているかで決まります。
もし、移動中に重要な意思決定を行い、数千万円、数億円の利益を生み出す経営者であれば、完全な静寂とセキュリティが保たれたRLの空間は、わずか数回の移動で元が取れる投資となります。
逆に、単なる移動手段として見るならば、これほど無駄な出費はないでしょう。
RLの価格は、その車が提供する「機会損失の回避」と「パフォーマンスの最大化」に対する正当な対価なのです。

30系生産終了後に高まる「移動資産」としての中古市場評価

通常、高級車は新車登録から時間が経つにつれて価値が下落する「減価償却資産」です。
しかし、トヨタ公式の中古車サイトなどで相場を見れば分かる通り、RLはその常識の枠外にいます。
生産終了から数年が経過した現在でも、中古車市場では新車価格に近い、あるいは状態によってはそれを上回る価格で取引されるケースが見られます。

その理由は単純で、「代わりがない」からです。
メルセデス・ベンツのVクラスや、レクサスLM（4座仕様）など、類似のコンセプトを持つ車は存在しますが、「アルファードの取り回しの良さ」と「日本の道を知り尽くしたトヨタの乗り味」、そして「これほど徹底した架装」を兼ね備えた車は他にありません。
特に、経費で落とせる高級車を探している法人需要や、海外の富裕層からの引き合いも強く、相場は高値安定を続けています。

つまり、RLを購入することは、単に車を買うのではなく、金（ゴールド）や高級時計のように、価値の保存性に優れた「移動資産」を保有することを意味します。
乗り潰して終わりではなく、手放す際にも高いリセールバリューが期待できる。
その点においても、RLは経営者にとって極めて合理的な選択肢と言えるのです。

経営者が選ぶべき究極の移動空間　ロイヤルラウンジという選択肢

アルファードという同じ名前を冠していても、エグゼクティブラウンジとロイヤルラウンジは、目指した頂が全く異なる車です。
前者は「家族やゲストをもてなす、最高の実用車」であり、後者は「選ばれたリーダーのための、孤高の移動要塞」です。

もしあなたが、週末に家族とゴルフに行ったり、孫を連れて旅行に行ったりする用途を考えているなら、エグゼクティブラウンジ以上の選択肢はありません。
しかし、もしあなたが移動時間を「消費」するのではなく、誰にも邪魔されない休息や、極めて重要な思索に耽るための「投資」の時間に変えたいと願うなら、ロイヤルラウンジこそが唯一無二のパートナーとなります。

生産終了から時が経ち、状態の良いロイヤルラウンジに出会える確率は年々下がっています。
もし市場でこの車を見つける幸運に恵まれたなら、それは単なる中古車選びではありません。
あなたのビジネスと人生の質を、もう一段階高いステージへと引き上げるための、千載一遇のチャンスかもしれません。
1500万円という価格の向こう側にある、静寂と革新の空間。
そのドアを開ける鍵を、あなたはその手に握る準備ができているでしょうか。